SSDのブランドの選び方 2023年春

2022年後半はNANDの価格の下落が進み、その影響か有象無象の格安SSDをよく見かけるようになった。

SSDの中身は、乱暴に言ってしまえば「NANDチップを含む電子部品が実装された基板」だ。HDDとは異なり、モーターのような精密な機械部品を含まない。必要な電子部品さえ揃えられるならば、SSDを設計・製造する難易度はあまり高くない。その影響か、現状では有象無象のブランドまでSSDを手がけている。

玉石混交なブランドがSSDを扱っている影響で、市販のSSDの品質も玉石混交気味だ。

SSDを「一定以上の信頼性のある補助記憶装置」として使いたい場合――例えばOSをインストールするシステム・ドライブとして使用したいならば、玉石の中から信頼性が高めなSSDを選ぶ必要がある。

SSDも工業製品なので、最終的には個体による品質の差(そして時には初期不良の問題)に突き当たるのだが、その点を除外するならば、一般的には「NAND型フラッシュメモリの市場シェア上位のメーカーが展開するブランドのSSD」は比較的信頼性が高いといえる。

NANDメーカーの吸収合併など動きでブランド名が変化することがある。ここに、2023年2月時点での「比較的信頼のおけるSSDブランド」についてメモしておく。

以下、アルファベット順:

  • Crucial (Micron Technology)
    • NANDシェア第5位のMicron Technologyが展開しているブランド。
    • 良くも悪くも「定番のブランド」という印象。
  • KIOXIA (KIOXIA)
    • 東芝メモリ東芝がチャレンジしちゃった結果、東芝半導体メモリ事業部が分社化して東芝メモリになり、商号変更でキオクシアになった。
    • 実はNANDシェア第2位のメーカーだが、SSDについては後発ブランドなためかまだまだ影が薄い気がする。NAND自体は、東芝メモリ時代にKingstonのSSDに使われていたりしたことで(一部の界隈では)有名なのだけど……。
  • Samsung (Samsung Semiconductor)
    • 説明不要。なおSamsungはNANDシェア第1位のメーカーでもある。
    • SamsungSSDは、全体的に価格がちょっとお高めな印象がある(個人の感想です)。
  • Solidigm / SK hynix / Intel (SK hynix)
    • NANDシェア第3位のSK hynixが展開しているブランド。今は3位だけど、NAND市場の悪化が無かったらシェア2位になっていたはず。
    • 元々はIntelとSK hynixがそれぞれNAND事業部を持っていて、SK hynixがIntelのNAND事業を買収して子会社化したのがSolidigm(だから旧Intel SSDみたいな言われ方をすることがある)
    • 2023年2月の時点では、旧来のSK hynixの系譜にある「SK hynix」と、旧Intel系の「Solidigm」の2系統にブランドが分かれていると考えられる。とはいえエンタープライズ向けのP5530のような共同開発製品も出てきているので、これから数年をかけて技術面の統合が進んでいくのかもしれない。
  • Western Digital / WD / SanDisk (Western Digital)
    • NANDシェア第4位。Western Digitalは元々HDDメーカーだったが、SanDiskを買収してフラッシュメモリ事業に乗り出した、という経緯がある。
      • 今もWDとSanDiskの両ブランドでSSD製品を展開しているが、技術的にはどちらのブランドも旧SanDiskの流れを汲んでいると考えられる。
      • WDが2013年にSSHD(WD Blackシリーズ)を出した時、SanDiskNANDフラッシュメモリを使用していた。SanDiskの買収は2015年だが、それ以前より繋がりがあったのかもしれない。
    • 他のNANDシェア上位メーカーとは異なり、HDDを含むストレージ・デバイスを幅広く取り扱っている点が特徴的だと思う。