中高年プログラマの生き残り戦略 基礎の基礎編

最低でもあと10年は職業プログラマとして働き続けようと思っているのだが、働き続けるにあたり重要なファクターをあれこれ考えた結果、結局のところ根本的には「心身の健康」と「体力」と「お金」だろうという結論にたどり着いた。

……これだけでは話が広がらないので、もう少し深掘りしてみる。

個人的な意見だが、成功*1というものは、「環境」「努力」「才能」の3つの絵柄がうまい具合に揃った時に、確率的に生じるものだと思っている。

3要素が揃わないと何も得られない。3要素が揃った場合も、その揃い方次第で、当たるのは小役かもしれないし、ボーナスかもしれない。時にはリプレイかもしれない。パチスロと違うのは、当人には何も見えない(当たったことすらも!)ことと、何をもって役とするか(そして何が小役で何がボーナスか等)が人それぞれ異なることだろう。

このように考えた時、何らかの成功を得るためには、「環境」「努力」「才能」のそれぞれの絵柄を見定めることを前提としつつ、「試行回数を増やす」ことが重要となる。

研究によれば、何かしら成果をあげる確率は年齢に左右されないようだ。20代から70代まで、世にインパクトを与えるようなアウトプットを出す確率は概ね同じらしい。

ただし、加齢によって試行回数は減る。30代以降は徹夜できなくなるし、疲労回復も遅くなり休息時間が増える。集中力も衰えてくる。試行に費やすための可処分時間が減るうえに、1回の試行に費やす時間が増える傾向にある。試行回数が減ることで、一定の期間において成功を得られる可能性は低くなる。

では試行回数をなるべく減らさないためにはどうすればよいか? そう考えた時、結局は「心身の健康」と「体力」が重要だということになる。あと「お金」は、それで直接的に「心身の健康」と「体力」が得られる訳ではないが、「心身の健康」と「体力」を効果的かつ効率的に維持・増進するための諸々を間接的にサポートするツールとして用いることが可能だ。

付け加えると、就職氷河期世代として未だに「失業して収入ゼロ! 来週ぐらいまでは何とかなるけど、来月以降の食事と家賃をどうしよう……次の仕事、見つかるかなあ……」という夢を1年に1回ぐらい見るので、「心の健康」という観点で、究極的には、経済的自立が可能なぐらいの資産があると心置きなくコードを書けるのかもしれない。そんなものないけど。

ところで、加齢によって衰える能力がある一方で、加齢によって成熟する能力もある。だから若い頃と同じアプローチはうまくいかなくなる。「環境」「努力」「才能」のうち「才能」の絵柄が変化しているのだから、それに見合った「環境」と「努力」の絵柄を見定めなくてはならない。

世に出回っている「40代エンジニアの生存戦略」みたいなアレコレは、実のところ「環境」と「努力」の絵柄の話だ。残念ながら「才能」の絵柄とその変化は人それぞれ異なるし、肝心の記事にはターゲットとしている「才能」の絵柄が描かれていないことが多いので、大抵は赤の他人が読んでも意味がない。あとコの業界は意外と幅広く、今の自分がよく目にする「環境」の絵柄も人それぞれなので、「環境」の絵柄を固定しない総花的な記事は毒にも薬にもならず、「環境」の絵柄を固定した記事は自分自身のそれとのミスマッチで役に立たないことが多い。

「環境」の絵柄を探るには、時に転職のような「心身の健康」と「体力」と「お金」がかかる札を切ることになるだろう。「努力」の絵柄も、手を変え品を変え試行するには「心身の健康」と「体力」が重要となるし、自己投資の元手として「お金」を使うこともあるだろう。

そう考えると、結局は「心身の健康」と「体力」と「お金」が重要なのだろう。どれも欠けているけど。

*1:何をもって「成功」とするかはさておくとする。