故あってTP-LinkのVPNルーターER605を触ったので、感想を書き残しておく。ハードウェア・バージョンはV2.0だ。
業務用相当の機能を持つ新品で安価な有線LANルーターが欲しくて、3年ぐらい前だったらEdgeRouter Xを買っていたところなのだが、どうも最近はEdgeRouter Xの入手経路が不明瞭だし価格も上昇してしまったし――ということで、少々悩んでいたのである。
TP-Linkの製品には、何というか「行儀が悪い」印象があって、今でもあまり積極的に買おうとは思えないのだが……でもAmazonでの実売価格が1万円を切るという事実に我々はあまりにも無力だった……。
良かった点
- 安い。
- 筐体が比較的コンパクト。
- 「NETGEARの8ポートのスイッチングハブ」とほぼ同じぐらいの大きさ。
- EdgeRouter Xよりは大きいけど、ヤマハのRTX810と比べたらはるかに小さい。とはいえRTX810が電源内蔵なのにたいしてER605はACアダプタ前提、という点には留意すべきだろう。
- Web管理画面だけでも十分に設定できる。
微妙だった点
- 起動が遅い。
- 業務用ルーターの類はブートにそこそこ時間がかかるものだと思っているが、それにしても起動に時間がかかりすぎてないだろうか?
- Web管理画面の操作中にタイムアウトになったことが、変更した設定を適用してみないと分からない。
- 設定項目をあれこれ入力して、さあ適用――とSaveボタンを押したタイミングで「実はタイムアウトしてました。再ログインしてね」で入力がご破算になるのは、精神的に辛いものがある。もっと早く通知してよ……。
- この件については、もしかしたらブラウザの影響もあるかもしれない(Firefoxだし、10年以上熟成されたプロファイルを使っているし……)。
- NTPサーバをIPアドレスでしか設定できない。
- パケットフィルタリングを設定する時に、直接IPアドレスやネットワークアドレス等を指定することができない。
- 事前に「Preferences」の画面で利用したいネットワークアドレス等に名前を付けておき、その名前を「Firewall → Access Control」の画面でフィルタリングを設定する時に使用しなくてはならない。
- この件については、もしかしたら本職のネットワーク技術者にとってはごく当たり前のことかもしれない。しかし、凝ったフィルタリング設定をするのならともかく、簡単な設定で十分な場合には、かえって面倒な仕組みじゃないかなあ。
- 思ったよりも日本語の情報が少ない。
- EdgeRouter Xの方が、有志による非公式情報を含めて、日本語での情報が多くないかなあ?
つまづいた点
- 購入時のファームウェア(2.0.0)から最新版(2.2.4)に一気にアップグレードできなかった。
- 「2.0.0 → 2.2.2 → 2.2.4」と2段階に分けてアップグレードしたら成功した。
- なおファームウェアのダウンロードページには「2.2.3からじゃないと2.2.4にアップグレードできないよ」と書いてあったが、肝心の2.2.3は非公開でダウンロードできなかった。2.2.2からアップグレードして成功したっぽいけど、これで良かったのだろうか?
- NTPサーバのIPアドレスを入力中ないし変更を適用する前に、入力した値が「0.0.0.0」に戻ってしまう。
- 何やら周期的に元に戻されるようだったので、コピペを駆使してタイミングを見計らってIPアドレスを設定した。
- この件については、新しいファームウェアでは修正されているかもしれない。
感想
業務用レベルの有線LANルーターは3台目で3メーカー目(Ubiquiti EdgeRouter X、Yamaha RTX810、TP-Link ER605)だけど、メーカーによって癖が違うなあ。
ER605は、凝ったことをせずに「昔ながらの有線LANルーター」的な使い方をする分には、悪くないルーターだと思う(VPNは激重らしいけど)。
なんだけど、Web管理画面のタイムアウトの挙動とか、NTPサーバのIPアドレス入力の件とか、細かいところに粗があるように見えて……元々の「行儀が悪い」という印象と合わさって、本体内部の目に見えない部分の品質が少しばかり気になってしまう。
リピ買いするかどうか、正直迷うところだ。
なお自由度の高さについては圧倒的にEdgeRouter Xに軍配が上がるのだが、これについてはEdgeRouter Xが良い意味でおかしいだけである。