あなたが好きなことを仕事にするべきではない理由

もしあなたが好きなことを仕事にしたのなら、成功しようとも失敗しようとも、その道は茨の道であることを覚悟しておくべきだ。

まず、好きなことが仕事として成立しない可能性がある。その場合、本当にその「好きなこと」で食べたいのなら、仕事として成立させるとか、方向性を少し変えてみるとか、そういった創意工夫が求められるだろう。しかしそれでも成立しないかもしれない。

全ての人が好きなことを仕事にできるとは限らない。求人数は有限だ。自分よりも優秀な人が求職しているのなら、その人に取られてしまう可能性は高いだろう。

好きな仕事に就けても、才能やら何やらが足りなければ淘汰されてしまう。好きな仕事で食べられるとは限らない。ただし努力に関しては、好きではない人にとっては努力でも、好きな人にとってはご褒美かもしれないが。

キャリアパス的に、その好きな仕事に留まれる期間は短いかもしれない。その仕事を卒業しなくてはならなくなった時にどうするか、考えておく必要がある。

好きなことであっても仕事は仕事だ。趣味ではない。ヤクルトの宮本の引退会見ではないが、仕事なのだ。私個人としては、楽しむことは否定しない(否定できない)が、しかし仕事としてのレベルを保たなくてはならない。気が進まないことでも、仕事だからやらなくてはならない。

好きなことを仕事にすると、大抵は趣味が減る。今まで趣味だったものが仕事になるからだ。息抜きとしての趣味の選択肢が減ってしまうだろう。

唯一の好きなことを仕事にしてしまうと、仕事に没入しすぎてしまう。本人は好きなことをしているだけだが、周囲からは「仕事人間」「真面目一本槍」「付き合いが悪い人」「家庭をかえりみない冷たい夫/妻」と評価されてしまうかもしれない。私など意外と適当な人間なのだが、なぜか真面目だと思われている節があるようだ。

もしあなたが意志の弱い誘惑に連敗続きの人間で、趣味が少なく、その数少ない大好きな趣味で収入を得られる可能性があったとしても、それを仕事にするのは危険かもしれない。没頭しすぎて人付き合いをかえりみず、友人と疎遠になってしまう可能性がある。

仕事が嫌になることは、かつて好きだったことに憎悪を覚えるようになることと同義だ。その憎しみは、好きでもないことを嫌いになった場合の比ではない。あまりの苦痛にのた打ち回ることになるだろう。

だから多分、あなたは好きなことを仕事にするべきではない。