パッと見の印象:テスト駆動開発あたりの文脈から出てきた「単体テスト」についての、「良いテスト」について論じた本。
単体テストにフォーカスしたソフトウェア・テストの本で、しかも「具体的なテストのやり方」ではなく抽象的な視点で論じているものって、(少なくとも和書では)あまり類書を見ないように思う。
本書を購入した理由は、私の中の「単体テスト」と、最近に世間一般で言われている「単体テスト」の差異を知るためである。私自身は、どちらかと言えば組み込みソフトウェア開発の文脈で単体テストに取り組んできた人である。組み込み系の単体テストは、本書の「単体テスト」とはまた異なる趣がある。
知らないうちに、自分と相手とで異なる「単体テスト」を思い浮かべたまま会話していて、話がこじれてしまった――みたいなことを避けたい。そのためにも、今の時代に多くの人が思い浮かべるだろうタイプの「単体テスト」について知っておきたい。
こういう用途には、今の「単体テスト」について一通りまとめられた本書はちょうど良い感じである。
ただし、この本は教科書や学術書ではなく、「著者が自分自身の開発経験を通じて会得した考え方をまとめたもの」という面が大きい。そのため、内容の所々に著者の好みが現れているように感じられる。全てを鵜呑みするのは避けた方がよいだろう。