商用目的で最新のMicrosoft C/C++コンパイラを無償利用できなくなった

Visual Studio Communityの登場により、次のバージョンよりVisual Studio Expressはリリースされなくなった。この影響で、今後は最新のMicrosoft C/C++コンパイラを商用目的で無条件に無償利用できなくなった。

うっかりものなので、昨日になってようやく気づいた。

以前はWindows SDKやWDKにC/C++コンパイラが付属していたのだが、Windows SDK for Windows 8やWDK 8の頃にVisual Studioとの統合が進み、Visual Studioコンパイラを使用するようになった結果、コンパイラが付属しなくなった。

その影響で、最新のMicrosoft C/C++コンパイラを無償で手に入れるにはVisual Studio Expressをインストールしなくてはならない状況だった。

しかしVisual Studio Communityの登場で、Expressは現行の2013で終了することになった。

Visual Studio Expressはライセンス条項に従う限りは商用で使っても問題はなかった。Express 2013 for Windows Desktop with Update 4のライセンス条項をあらためて確認したが、利用者や利用目的に起因する制限はなかった。つまり、会社で商用目的の開発に利用してもセーフだった。

一方でVisual Studio Communityは、個人開発者ならともかく、会社などの組織にて使用するには色々と制限がある。利用できない所は結構多いと思う。

つまり次のバージョンより、最新のMicrosoft C/C++コンパイラを商用目的で無償利用できる会社組織は限られることになる。

Visual Studio Express自体は、C++を用いたWindowsアプリ開発の仕事で使うには色々厳しくて*1、結局はVisual Studio Professional以上が必要となることが大半だった。

その一方で、DLLのビルドのようなGUIが絡まない用途や、Microsoft C/C++コンパイラだけ使いたいようなケース*2では、Visual Studio Expressの機能の貧弱さは気にならない上に、商用目的でも合法的に無償で使えた。

急に超短期間だけ一時的に人をアサインしたいけどVisual Studioのライセンス割り当てが間に合わない──というようなケースで「とりあえずExpressで間に合わせる」という使い方ができたのだが……まあ、これも時代の流れということか。

*1:MFCとかリソースエディタとか、足りない物が多すぎるため。いや、色々と小細工して足りない部分を補うのは可能だが、いちいちそうするのが面倒だ。

*2:例えばデバイスドライバ本体の開発や、Qtなどのサードパーティフレームワークを使用した開発など。