2〜3世代前のOS X/macOSの実行環境を整えるためのメモ

最新版を含む過去4世代のOS X/macOSをbootできる環境を整えているのだが、環境構築の過程で得られた知見を残しておく。

なお、このメモはOS X Mavericks(10.9)以降を前提としている。執筆時点での最新のOSはmacOS High Sierra(10.13)である。

どこまで古いOSをインストールできるか?

Windowsの場合、例えばWindows 10プリインストールPCであっても、Windows 7に対応したデバイスドライバが公開されているなら、Windows 7でも問題なく動作する可能性が高い。しかしMacはそうではない。

現在のMacはハードウェアとOS双方を含めてクローズドなシステムだ。そのため、Mac本体の各デバイス用のドライバを独自に入手する術がない。OS付属のデバイスドライバを使用するしかないのである。

そのため論理的には、あるMacの機種に、その機種にプリインストールされていたものよりも古いOSを入れようとした場合、必要なデバイスドライバが古いOSに含まれていないために正常に動作しない、という可能性がある。

(もしかしたら、OSのインストーラ側にてガードがかけられていて、古いOSをインストールできないようになっているかもしれないが、試していないので不明である)

少なくとも、当該機種の発表時に搭載されていたOS以降のものを入れるべきだろう。例えば、購入時にOS X El Capitan(10.11)がインストールされていたMacには、El Capitan以降のOSのみ入れるべきだ。間違ってもMavericksを入れようとするべきではない。もしMavericksの動作環境を構築したいなら、古いMacを入手してインストールするか、ParallelsVMwareなどの仮想環境にゲストOSとしてインストールするべきだろう。

古いOSのインストール先

用途次第ではあるが、過去数世代のOSを入れるとなると、各バージョンごとにそこそこのディスクスペースが必要となる。なので内蔵ディスクではなく外付けHDDなどに入れるべきだろう。*1

古いOSのインストーラの入手方法

El Capitan以前のOSのインストーラは、過去にApp Storeからダウンロードしたことがあるのなら、App Storeの「購入済み」タブから再ダウンロードできる。

過去にダウンロードしたことがないために「購入済み」タブから再ダウンロードできない場合は、OS X El Capitan へアップグレードするには - Apple サポートに書かれているように、このリンク経由でApp StoreOS X El Capitanのページを開いて、そこからダウンロードすることができる。MavericksOS X Yosemite(10.10)のページは既に存在しないようなので、過去にダウンロードしたことがない場合、通常の手段で入手することはできなさそうだ。

macOS Sierra(10.12)以降は、App Storeからダウンロードしても、「購入済み」タブに表示されなくなった。

Sierraインストーラを入手したい場合は、macOS Sierra にアップグレードする方法 - Apple サポートに書かれているように、このリンク経由でApp StoremacOS Sierraのページを開いて、そこからダウンロードすること。

High SierramacOS High Sierra にアップグレードする方法 - Apple サポートに書かれているようにこのリンク経由でダウンロードできるが、El CapitanないしSierra上のApp Storeからダウンロードしないと、全コンポーネントが含まれた状態のインストーラを入手できないようだ。

MojaveはmacOS Mojave にアップグレードする方法 - Apple サポートに書かれているようにこのリンク経由でダウンロードできる。

なお上記のいずれか場合も、過去にダウンロードしたインストーラがディスク上に残っていると、再ダウンロードができない可能性がある。この場合は、ディスク上のインストーラを削除してから再ダウンロードを試みること。

特にありがちなのは、例えばSierraの公開直後に10.12のインストーラをダウンロードしていて、1年後のHigh Sierra公開前後にSierraの最終版である10.12.6のインストーラをダウンロードしようとして、10.12のインストーラが残っていたために再ダウンロードできない――というパターンである。注意すること。

インストール用メディアの作成

ダウンロードしたインストーラmacOS上でアプリケーションとして実行可能だが、インストーラに付属するcreateinstallmediaを使用してインストール用メディアを作成することも可能だ。対象メディアはUSBメモリや外付けHDDだ。

作成方法についてはmacOS の起動可能なインストーラを作成する方法 - Apple サポートを参照のこと。

(前述のサポート情報にも書かれているが)High Sierraインストーラは、El CapitanないしSierra上のApp Storeからダウンロードしないと、全コンポーネントが含まれた状態のものが入手できず、結果としてインストール用メディアを作成できないので、注意すること。

*1:Windowsユーザ向け補足:Windows PCでは、外付けディスクにWindowsを入れることは不自然というか、Microsoftのポリシーの関係で普通にはできない所業なのだが、一方でMacでは割と普通なことである。