NEC LaVie L PC-LL750/2Dにカタログスペック以上のメモリを増設する

NECのPC-LL750/2Dの再セットアップをした。2002年に発売されたノートPCで、OSはWindows XP Home Edition、CPUはモバイルPentium III 1.0GHz、メモリはPC100の256MBだ。

再セットアップにあたりKnoppix 5.3.1でハードディスクのデータを吸い上げたのだが、さすがにメモリが256MBだと動作がもっさりした。再セットアップ後も、XPにSP3を適用したりパッチを当てたりセキュリティ関連のソフトを入れたりするにつれてマシンがどんどん遅くなっていった。Home Editionとはいえ、やはり256MBではパワー不足だ。

取り敢えずこのPCは暫く使い続ける予定なので、この機会にメモリを増設することにした。

中古品を探す

LL750/2D用の動作保証付きメモリは今でも新品を購入できるが、それでは面白くないので中古で探すことにした。個人的な経験則だが、CPUやメモリなどの大部分が半導体のパーツは結構長持ちする。その次がマザーボードなどのボード類で、コンデンサ周りで地雷を踏まなければ長持ちする可能性がある。ハードディスクやファンなどのモータが使われているパーツは壊れやすい部類に入る。つまり中古のメモリでも十分使える可能性が高い。

中古品を探すにあたっては、LL750/2Dでの動作保証の有無にはこだわらないことにした。もちろん動作保証のあるメモリがあれば入手するが、見つからなかった場合は例えバルクメモリでもLL750/2Dで使えそうなら手を出してみることにした。失敗しない為に十分に下調べをする必要があることは言うまでもない。

カタログスペックから対応メモリの種類を分析する

LL750/2Dのカタログスペックとしては、最大メモリ容量は512MBだ。メモリ増設用に144pin SO-DIMM用のスロットが1つ用意されている。本体裏のメモリ増設用の場所から中を覗いてみたが、標準搭載されている256MBのメモリモジュールを取り外せれるかどうか分からなかったので、取り敢えず増設可能なメモリモジュールは1つだということにした。そう考えると、256MBのメモリモジュールを1枚購入すればよいことになる。

LL750/2Dが対応しているメモリはPC100 144pin SO-DIMMだが、上位互換のPC133のメモリでも動作するだろうということは、過去の経験から想像がつく。というかIOデータなどの各社が販売している動作保証付きメモリ自体がPC133のものだ。まあ今時PC100のメモリの需要なんて(少なくともPC向けとしては)皆無だろう。

ところでメーカの動作対応情報を見ていると、256MBのメモリでもLL750/2Dで使用可能なものと使用不可能なものがある。実は一言でPC133 256MBのメモリといっても2種類が存在する。メモリデバイス(メモリモジュールの基板に載っている黒い板みたいなやつ)として128Mbit(16MByte)のものを16枚使用したものと、256Mbit(32MByte)のものを8枚使用したものだ。LL750/2Dの場合、128Mbitの方のしか対応していないということになっている。

まとめると、LL750/2Dで使用できそうなメモリは次の通り。

  • PC100 144pin SO-DIMM 128Mbit版 256MB
  • PC133 144pin SO-DIMM 128Mbit版 256MB

もっともPC100の方は入手が難しいと思われるので、PC133のメモリを探すことになる。

カタログスペックを無視してみる

色々とググっていたら「512MBのメモリモジュールを増設して合計768MBでの動作に成功した( id:ksmemo:20071030 )」という情報を見つけた。Linux上での情報だが、ハードウェア的にメモリが認識できるのならWindowsでも通用するはずだ。

もちろんNECとしては保証外の行為だし、何らかのデメリットが発生する可能性がある。例えばある処理が遅くなったり、特定のアプリが使えなくなったりするかもしれない。また消費電力や発熱量が増加することもあり得る。でも512MBよりも768MBの方が、メモリ使用量の多いアプリを使ったり複数のアプリを同時に使用したりする際に有利になる。できることなら768MBにチャレンジしたいところだ。

しかし、よく考えてみると512MBのメモリモジュールには256Mbit以上のメモリデバイスが使われているはずだ。というのもメモリ基板とメモリデバイスの大きさの都合上、144pin SO-DIMMに載せることができるメモリデバイスの数は16個あたりが限度で、逆算すると256Mbit(32MByte)* 16 == 512MBとなる。128Mbitのメモリモジュールが推奨されているLL750/2Dに256Mbitのメモリモジュールを使用した512MBのメモリを載せられるものなのだろうか?

実は128Mbitや256Mbitなどの制限は、マザーボードに使用されているチップセットの種類によって発生する。例えばチップセットIntel 440BXだと256Mbitのメモリは使用できないし、メモリモジュール1枚あたりの最大容量は256MBになる。今回の場合、256Mbit以上のメモリデバイスに対応し、メモリモジュール1枚あたりの最大容量が512MB以上で、且つ最大メモリ容量が768MB以上であるチップセットが使われているのならば、512MBのメモリを載せられるかもしれないのだ。

ただ、メーカー製PCでは同じ機種でも異なるチップセットが使われている可能性が無いとは言い切れないので、512MBメモリ搭載に成功したPCがあるからといって自分のPCでも必ず成功するとは限らない。念の為、手元のLL750/2Dのチップセットを調べることにした。

昔懐かしのWCPUIDを引っ張り出して調べたところ、チップセットはVIA Apollo Pro133A/Tだった。Apollo Pro133Aは最大256Mbitのメモリデバイスに対応し、メモリモジュール1枚あたりの最大容量は512MBで、最大メモリ容量は1.5GBだ。LL750/2D特有の何らかの問題が無ければ、チップセット的には256Mbitのデバイスを使用した512MBのメモリモジュールなら認識する可能性がある。

ただし同じ512MBでも512Mbitのメモリデバイスを使用したものは恐らく使用できない。512Mbitのメモリモジュールには8枚のメモリデバイスが使用されている。メモリ購入時には256Mbitのデバイスが使用されていると明記されているものか、メモリデバイスが16枚(恐らく片面に8枚ずつ)使用されているものを選択すればよいはずだ。

512MBのメモリを挿してみた

以上の妄想を元に、PC133 144pin SO-DIMM 512MBのメモリを購入することにした。入手したメモリはMicronのもので、256Mbitかどうか確認できなかったが両面実装で16枚(片面8枚)のメモリデバイスが載っているものを選んだ。

LL750/2Dに組み込んで起動したところ、BIOSレベルでしっかりと認識された。Windows上でも768MB(256 + 512)だと認識されているようだ。メモリ容量が3倍になったことで、アプリ等を操作したときの反応が劇的に改善された。今の所、特に不具合は出ていないので、しばらくこのまま使い続けることにした。